丁度払えばもう1回!美しい宮殿を作る箱庭ゲーム!
こんばんは、大佐です。今日は箱庭ゲームと買い物ゲームの組み合わせの『アルハンブラの宮殿』を紹介したいと思います。
当記事ではこのゲームの魅力とルールを分かりやすく解説しております。是非最後までご覧いただければと思います。
目次
基本情報

タイトル | アルハンブラの宮殿 |
デザイナー | ディルク・ヘン |
発売年 | 2003年 |
プレイ人数 | 2~7人(4、5人ベスト) |
プレイ時間 | 45~60分 |
流通状態 | 流通中(4,800円) |
言語依存 | なし |
BGG平均レーティング | 7.0/10点(評価数29000) |
ゲームの概要
プレイヤーは建築家になり、城塞であり宮殿でもある「アルハンブラ」を建設していきます。
もう少し具体的に「アルハンブラ」を掘り下げると、宮殿で美しい庭や、住居などを含む城塞です。小さな町と言って良いでしょう。

上の写真のような、美しい庭園を含む城塞が「アルハンブラ」です。これを建設していくゲームです。これらの建物をタイルと「宮殿」や「屋敷」などパーツ化されたものを購入し・配置していきます。
つまり、購入したタイルをパズルのように組み合わせて、自分のオリジナルの「アルハンブラ」を作っていくゲームです。
内容物の説明
まずはタイルです。このゲームの目玉である美しい宮殿を建設するために必要なタイルたちです。建物の種類は6種類あります。
建物の種類だけでなく、それぞれに代金(コスト)と壁が描かれており、コストは購入するために必要な金額を、壁は配置に制限を課せる要素です。この2つをいかに工夫でクリアするかがこのゲームのカギとなります。

お次はお金です。4種類の通貨があります。ディルハムとかドゥカートとか通貨の単位に名前はありますが、ここはざっくり4色のお金と覚えた方が便利です。本記事ではそう表記します。
お金には1~9までの数字があります。このゲームでは小さな値のお金も活きる調整がされており、どちらも大切になっています。
得点計算カードは山札のだいたい決まった位置に仕込まれて、めくられたら得点計算が発生するカードです。詳しくは後述します。

泉タイルと個人ボードです。泉タイルはここから箱庭を伸ばしていくスタート地点です。個人ボードはタイルがどのように得点になるのか表示されており、またタイルの一時的な確保場所です。

最後はタイル置き場(広場)と得点トラックです。広場はここにタイルが補充され、何の通貨で売られているのか表示するためにあります。
得点トラックは各プレイヤーの得点を記録する道具です。

準備
建物タイルを全て付属の布袋に入れます。袋の中からランダムに4枚引きます。それをタイル置き場に配置してください。

次に初期資金を受け取ります。お金カードを裏向きの山札としてまとめ、よく混ぜます。全員が表向きにお金カードを1枚ずつめくっていき、4種類の通貨の総額が20を超えるまでこれを続けます。

初期資金は最初の手番を決めるに活用するので、全員に見せてください。これを全員で行い、以下の優先順位でスタートプレイヤーを決めます。
- 受け取ったお金カードの枚数が一番少ない人
- 枚数が同じならば、4種類の通貨の総額が一番低い人
- それでも決着がつかない場合、最も若い人がスタートプレイヤーです。
この後、お金カードは以降は非公開となります。手札として管理して、誰にも見せないでください。
その後お金カードの山札から4枚をめくり場に置いておきます。場所は広場(タイル置き場)の近くが便利でしょう。

得点計算カードを仕込む
次にお金カードの山札に得点計算カードを2枚仕込みます。これは初期資金の分配と場札の4枚をめくった後に行います。
やり方は山札を5等分します。5等分したら以下のように番号を振っておきます。現実には頭の中で順番を決めておくことになるでしょう。
下記の図の2番目と、4番目の山札に得点計算カードを1枚ずつ仕込みます。1回目のカードを2番目に、2回目のカードを4番目に入れてください!

5つの山は得点計算カードを入れたら後によく混ぜてね!
次にお金カードの束を1が一番上、5が一番下になるよう1つの山札にします。こうすることで、得点計算カードが固まって出ることもなく、かつ得点計算の正確なタイミングの予想が難しくなります。

次に各プレイヤーは泉タイルと個人ボードを1つずつ受け取ります。その後何色を担当するのか話し合って決めてください。担当する色のマーカーを受け取り、1つは泉に、もう1つは得点トラックの0に置きます。
泉に置くマーカーは誰が何色なのかわかるようにするため使います。

個人用のタイル確保スペースのボードもお忘れなく!画像に入れ忘れたのでそのうち差し替えます。
以上で、準備完了です。結構準備は本格的な部類ですね。準備完了するとこんな感じになります。

手番の説明
手番はスタートプレイヤーから時計回りに進行します。スタートプレイヤーは手持ち金額で決まるので、ランダムには決めないでください。
手番にできることは3つあります。しかし1手番で実行できるのは1つだけです。以下の3つから選びます。
- お金カードを取る
- タイルの購入
- アルハンブラの改装
1.お金カードを取る
場にあるお金カードを1枚か、合計金額が5を超えない範囲で複数枚を取ることができます。下図の場なら「1と2と2の合計3枚」「9の1枚」が取れますね。

要するに少額の通貨は枚数貰いやすく、高額の通貨は単体でしか取れないということです。どちらが有利なのかよく考えて取るようにしてください。
このゲームは過払いでお釣りが貰えません。また丁度払うとボーナスがあります。少額のお金も大事です。
2.タイルの購入
タイル置き場からお金を払ってタイルを買います。そのタイルが置かれているところに、何の通貨で売られているのか描かれています。
置き場の表示された通貨でコスト分の金額を支払うことでタイルを購入できます。例えば下のボードならば、青の6でパビリオン(水色)が買え、黄色の10で塔(紫)が買えます。

この時の支払いはお金カードで行います。指定された金額より多い金額を支払って購入しても良いです。
だたしお釣りは貰えません。過払いすればするほど損です。できるだけ上手に買い物したいですね。支払ったお金は捨て札にします。
お釣り無しで買い物できた時は追加手番があります。つまりもう1回アクションできるということです。詳しくは後述します。
タイルの配置は全ての追加手番を完了してから、まとめて行います。追加手番が発生したらとりあえず、タイルの配置は手番の完了まで保留してください。

お釣り無しボーナス(追加手番)
建物を買う時にお釣りなく、丁度の金額で支払えた時にはボーナスとして追加手番が発生します。これは単純にもう一度手番を行えます。3つの選択肢からもう一度好きなものを選んで実行します。
ただし、建物タイルの補充はまだされません。追加手番を行うごとに建物タイルは減っていくのです。これにより理不尽な追加手番の連続は起こりにくくなっています(追加手番は建物を買わないと発生しないので)。
このボーナスは非常に強力です。1手番に複数個の建物を買うと、それは好きな順番で配置できます。
タイルの配置
まず配置のルールをざっくり説明します。タイルの黄色の背景をわかりやすくするため「陸地」と定義します。
- タイルの方向は回して変えてはいけません(回転禁止)
- タイルは既に配置したものに4辺のいずれかが隣接する必要があります
- 陸地と城壁が隣接してはいけません。城壁の隣は城壁である必要があります。
- 配置するタイルは歩いていけるよう陸地で繋がっている必要があります。孤立した陸地を作らないようにしてください。
- 「穴」(4辺が囲まれた空き地)を作ってはいけません。
特に初回にやらかしがちな3パターンを画像にまとめました。これらは特にやらかしがちです。

やってみると分かりますが、かなり城壁がネックになり配置制限は強めです。もし置けない時や今置かない方が有利だと判断したら、個人ボードの確保スペースに置くことも可能です。
上限はありません。好きなだけここにタイルを確保して置いておけます。

ただし、ここにタイルが置いてある限りは、その建物は得点計算の対象になりません。ご注意ください。ここのタイルは後述の「アルハンブラの改装」で配置が可能になります。
3.アルハンブラの改装
この手番はわりとシンプルです。以下の3択があります。
- 確保スペースから自分のアルハンブラにタイルを1つ置く(配置)
- 自分のアルハンブラのタイルを1つ、確保スペースに移す(撤去)
- アルハンブラのタイル1つを確保スペースに移し、今開けた場所に確保スペースのタイル1つを移動させる(入れ替え)。
要は「配置」と「撤去」、もしくは「入れ替え」の3択です。

手番の終了
この手番で獲得したタイルをここで初めて、自分のアルハンブラに置くか、確保スペースに置くかを決定します。獲得したタイルを好きな順番で置いてください。
さらにここで、建物タイルの補充とお金カードの補充を行います。建物・お金ともに4枚になるよう場のカードを山札や袋から補充してください。
お金カードの山札は何度でも作り直します。補充するカードがなくなったら捨て札をよく混ぜて、山札を作り直してください。
得点計算
ゲーム中に3度得点計算があります。そのうち2回はお金カードに山に準備の段階で仕込んだカードがめくれたら行われます。最後の1回はゲーム終了時に行われます。
お金カードの山から得点計算カードがめくられたら、それを脇にどけお金カードの代わりの1枚を速やかに場に補充します。その後、得点計算を行います。得点計算はざっくり言えば、以下の2つの要素があります。
- 6種類の建物の各種ごとに多く持っているボーナス
- 外壁の長さボーナス
1のボーナスは上位数名に分配されます。2のボーナスは全員均等にその機会があります。詳しく解説してきます。
1.6種類の建物の各種ごとに、多くもっているボーナス
これは単純に各色の建物のアルハンブラへの配置数で多いプレイヤー上位1~3位に得点が発生します。今の得点計算が何回目かによって何位までボーナスが貰えるかが変わります。そのパターンは以下の通りです。
- 1回目ならば各色1位のみ
- 2回目ならば各色2位まで
- 3回目ならば各色3位まで
という覚えやすい方式で得点が発生します。得点計算カードのPlatz(順位)の通りに得点を分配します。
3回目のみがカードを使わないので確保スペースのボードに得点が描かれております。

タイ(同着)の時の処理
同着時の場合は同着の人同士で得点を均等に分け合います。言葉にするとかなり複雑です。端数は切り捨てです。
言葉にすると複雑なので素晴らしいリストがあるので紹介します。これを見れば一発でわかります。
要は複数人いる順位の下位の点数を足して、それを人数で割る感じです。
1位が2人なら1位と2位の点数を足して2で割ります。3位の点数は別で発生します。1位が3人なら1~3位の点数を足して3で割る。って感じです。詳しくは下記URLを見てください。
こればっかりは言語化が難しかったので、この表を見て欲しいです。一回目を通せば、法則は見えてくるはずです。
2.外壁の長さボーナス
これはかなり単純です。外壁の長さ分のボーナス点を獲得します。
- 最も長い外壁の1つがボーナス対象です。
- 点数は外壁の辺の数がそのまま点数です。11辺なら11点です。
- 内側の壁はノーカウントです。あくまで外壁だけです。
これも具体例を挙げます。下図ではかなりタイルの数こそ少ないですが、10辺の外壁があるので10点貰えます。辺の数なのにご注意ください。

ゲームの終了
建物タイルを補充する際にタイルが切れて、不足が出たらゲーム終了です。手番数は均等にするのではなく、ただちに終了します。

この時売れ残った建物がいくつが残ります。これも誰かに分配されます。残った建物の必要通貨の総額を全員で公開して比べます。その総額が多い人がその建物を受け取ります。
例えば上の図ならば青の建物は青の通貨が一番持っている人が受け取ります。同着の場合は誰のものにもならず、ゲームから取り除きます。
こうして受け取った建物を自分のアルハンブラか確保スペースのどちらかに置きます。これでゲーム終了です。3度目の点数計算をして、最も得点の高い人が勝利します。同着の場合は勝利を分かち合います。
ゲーム終了時の売れ残りも得点計算前にアルハンブラに配置するチャンスがあります。忘れずに!
まとめ
手番の流れは以下の3択から行います。
- お金の獲得
- タイルの購入(お釣りなしだと追加手番)
- アルハンブラの改装(配置・撤去・入れ替えの3択)
タイルの補充と配置は手番終了時です。追加手番の連鎖には限界があります。
1.お金の獲得
- お金カードを1枚選んで手札に加えます。
- もしくは合計金額が5以内で複数枚を手札に加えます。
- よくある山札の一番上から1枚引くはできません。
2.タイルの購入
- 欲しいタイルの置き場に表示された色の通貨を、タイルに表示された金額払います。
- 支払いにはお釣りはでません。過払いするとそれだけ損です。
- 表示金額きっちり払えると追加手番が発生します。
- タイルの補充と配置は手番終了時です。購入したタイルは一旦、脇にどけておきます。
3.アルハンブラの改装
確保スペース、自分のアルハンブラあるいはその両方からタイルを1つだけ選んで以下の3つからどれかを実行します。
- 確保スペース→自分のアルハンブラ
- 自分のアルハンブラ→確保スペース
- 自分のアルハンブラと確保スペースのタイルを位置そのままで入れ替え
得点計算
- 全部で3回あります。2回は得点計算カードが山札からめくれることで発生します。
- 3回目はゲーム終了時です。回を重ねるごとに得点は大きくなります。
- 6種類の建物それぞれ、配置個数が多い人の上位数名(後半ほど多い)に点数が出ます。
- 確保スペースの建物はノーカウントです。比べるのは配置個数だけです。
- 同着の処理は少々複雑です。詳細はタイ(同着)の時の処理を参照ください。
- 外壁の長さボーナスは、「最大の外壁1つの辺の数だけの得点」が全員貰えます。内側の壁はノーカウントです。
手番の終了
- タイルの配置と補充はここで初めて行います。
- 購入したタイルを確保スペースに置くか、自分のアルハンブラに置くか決断してください。
- 複数個のタイルを購入したら任意の順番で配置してください。
- 山札は何度でも捨て札を混ぜて作り直します。
確保スペースについて
- 確保スペースに置くと得点計算の対象外になります。
- 確保スペースに上限はありません。
- 一旦ここに置くと、「アルハンブラの改装」アクションを使わないと配置できません。
タイルの配置について
- タイルは回転させてはいけません。建物の向きは統一してください。
- 泉かタイルに4辺が隣接する場所にしか置けません。
- 黄色の背景を「陸地」と定義します。
- 壁の隣のタイルは壁でなければいけません。陸地と壁が隣接するのはダメです。
- 壁で隔てられて、隔離された陸地を作ってはいけません。陸地は繋がっていて、1つの集合になるように配置する必要があります。
- 周囲4辺が囲まれた空きます(穴)を作ってはいけません。
配置制限に関してはかなり強烈です。詳しくは「タイルの配置」をご覧ください。
ゲームの終了
- 建物が場に4つ補充できない時の手番の終了時にゲームは終了します。
- 売れ残った建物は、それが売られている通貨の総額が多い人に渡されます。アルハンブラに配置か、確保スペースにおいてください。
- この際に複数のタイルを受け取ったら、任意の順番で配置してよいです。
- その後3回目の得点計算を行います。つまり終了時の建物もアルハンブラに置けば得点の対象になります。
- 得点が同じ場合、特に優劣を決めるルールはありません。勝利を分かち合いましょう!
間違いやすいところ・勘違いしやすいところ
- 確保スペースの建物タイルは得点計算の対象外です。
- 壁と陸地の隣接禁止はうっかり置けない配置をしてしまいがちです。
- タイ時の得点ルールは一言で説明するのが難しいです。
- 複数の建物を同一ターンで獲得したら、それは好きな順番で置けます。
- タイルの補充は手番終了時です。追加手番の連鎖を抑止するルールなので間違わないようにしたいです。
- 山札の一番上からカードを引くのはこのゲームではできません!
- 山札は不足したら何度でも捨て札を混ぜて作り直します。
- 追加手番でアルハンブラの改装を行ったら、改装を先に実行してください。購入したタイルはこの後に配置します。
評価と感想
まずは公平に良いところと悪いところに触れていきます。
- お洒落な箱庭を作る楽しさがある
- 丁度お金を払った時の追加手番が強力で楽しい!
- 細かいルールは多いが、やることはお金を取ってタイルを置くだけ!
- タイルと4種類のお金のやりくりが楽しい
- 壁をうまく扱うパズル的思考が要求される楽しさ
- 配置の制限がとても強く、慣れるまで上手な庭園を造るのは難しい
- 積極的な方法で相手を妨害するのが難しい
- プレイ可能人数は広いが、実質3~4人ゲームなこと。2人と5人以上は不向きとのこと。
- やることのシンプルさとルールの難しさのバランスがやや悪い。
- 建物の配置個数の上位に点数が出る。謎システム。元々は株ゲームだったので仕方のないところか。
どんな人におすすめ?
元々は株式ゲームだったのですが、タイル配置のパズル要素が追加されたことである程度年齢の高い子供や、女性にもお勧めできる作品になりました。特に壁周りの配置はうまくハマった時は気持ちいいです。
ドイツ年間ゲーム大賞(赤ポーン)は伊達ではなく、万人におすすめできると言いたいのですが、少々ルールの説明が厄介なゲームでもあります。
全員にルールを説明する時は、第一回目の得点計算までお試しでプレイして覚えることを強くお勧めします。
個人的な感想
本質でいえばシンプルなお買い物&壁パズルゲームです。きっちりお釣りなしで買い物の時の追加手番と、壁をうまくつないだ時は非常に楽しいです。主にこの2つを楽しむゲームだと思えば良いかと思います。
一番気になるのはは良い人数の狭さです。2~6人と範囲は広いが、実質は3~4人で遊ぶゲームという色合いが強いです。知らずに悪い人数でプレイされてダメなゲーム扱いされている可能性を懸念しています。
僕個人としては2回+オンラインで3回の計5回プレイしています。悪くないです。3人で遊ぶと結構、カードとタイルの取り合いで間接的に妨害できるので3人がお勧めです。
ボードゲームアリーナでプレイできるので、リクエストがあれば断ることはないでしょう。それぐらいには良いゲームだと思っています。
推定プレイ回数 | 5回ほど |
僕のPlay:game点数評価 | 6点/10点(平均的なゲーム。プレイするだろう) |
今後の予測変動幅 | 6~8点(5点が付くことはなさそう) |
『アルハンブラの宮殿』を買う!
在庫はありますが、絶版になりそうな雰囲気も出しています。豊富に在庫が溢れかえっているわけでもないので、欲しい人が居れば抑えておきたい範囲ですね。まだまだ流通はしてはいます。
お勧めはすごろくやさんか、駿河屋さんですね。新品が欲しければすごろくやさんへ、中古でも良ければ駿河屋さんがお勧めです。