後戻りはできないカードゲーム。合計で20を超えることを目指そう!
こんばんは、大佐です。今日は『ロストシティ』の詳細レビューを書きたいと思います。当記事はこのゲームの魅力とルールを分かりやすく解説しております。是非、最後までお楽しみください。
目次
基本情報

タイトル | ロストシティ |
デザイナー | ライナー・クニツィア |
発売年 | 1999年 |
プレイ人数 | 2人専用(2セットあればで4人も可能) |
プレイ時間 | 30分 |
流通状態 | 流通中(4,400円) |
言語依存 | なし |
BGGレーティング | 7.2点/10点(評価数37000) |
ゲームの概要
プレイヤーは探検家となり、5つの遺跡を探検します。遺跡の探検はカードを出すことで行います。各遺跡カードには数字が2~10まであります。高い数字ほど遺跡の深部に到達しているという扱いです。
カードを出す時に高い数字をを出すと、その色はそれ以下の数字が出せません。ここが本作の最大の特徴です。つまり赤の遺跡で4を出すと、赤の遺跡の2と3はもう使えないカードになるわけです。
また各遺跡はカードの数字で合計20を超えない限り、失点になります。遺跡発掘の費用を回収できなかったイメージで良いでしょう。なので20を超える自信が生まれてから、遺跡探検をスタートしたいわけです。
とはいえ、新しいカードを引くにはカードを出すか捨てるかしないといけません。捨てると相手に拾われるので、見切り発進することが大半です。さくさく遊べますが、出すも厳しい、捨てるも厳しいゲームです。
カードを出したくもないし、捨てたくもない。そうこれが噂の「クニツィアジレンマ」というやつです(笑)。
内容物の説明
まずはカードです。各色のカードは2~10までの9枚に契約カード3枚を加えた12×5枚の全60枚で構成されています。オリジナルのコスモス版はカードはかなり大きく、専用のスリーブが必要です(確か70×110サイズ)。スリーブを使う方はご注意ください。

次にボードです。ボードはカードを出すための場所であり、捨て札置き場も兼ねています。それだけでしかないのですが、あのジャンボカードを置ける置き場なのでそこそこデカいです。

準備
準備はたった3ステップです。たったこれだけでゲームが開始できます。
- カード60枚を裏向きによくシャッフルして、8枚ずつ2人に配ります。残りは山札です。
- ボードを2人のプレイヤーの間に置きます。
- 適当な方法でスタートプレイヤーを決めます。

カードをシャッフルするだけで始められるゲームは神ですね!
手番の選択肢
スタートプレイヤーから交互に手番を行います。手番の選択肢は2つあり、そのうちどちらかを選んで実行します。
- 手札からカードを1枚選び、自分のカード置き場に出す。
- 手札からカードを1枚選び、中央のカード捨て場に捨てる。
要は「出す」か「捨てる」かの2択です。さきほど少し説明しましたが、出すことにも捨てることにもリスクがあります。どちらのアクションを選んでもカードを1枚引けます。なので手札は常に8枚を保ちます。
1.手札からカードを1枚選び、自分のカード置き場に出す。
このアクションでは8枚の手札からカードを1枚選び、自分のカード置き場にカードを出します。5色のカードそれぞれに置き場があり、出したカードの色に対応する置き場に置きます。例えば赤の5なら赤の置き場に置きます。

同じ色のカードの2枚目を出す時には、1つ重要なルールがあります。それは「すでに自分が出した数字以下のカードは出せない」ということです。例えば、赤の5を出していたら、赤の4以下(2~4)は出せないということです。契約カードはについては後述します。
要するに仮に赤の5を出してしまうと、赤の2~4は死に札(使えないカード)になってしまいます。そこらへんのリスクがあるのでカードを出す時には慎重にプレイしたいです。
また1つの置き場に2枚目以降のカードを出す時には、数字だけわかるようスライドさせ列にして出していきます。これにより何を過去に場に出したのかは明らかにしておく必要があります。

1枚でもカードを出した列は20を超えないとマイナス点!
各遺跡への探検(カードを出す行為)は、カードの合計が20を超えるように出さないと、足りない分失点になってしまいます。冒険にかかった費用が回収できないイメージで良いと思います。出したカードの数字の合計から20引いた点数が、その色のスコアです。
逆に1枚もカードを出さなければ、その列は0点です。なので、中途半端にカードを出すのが一番傷が深くなるといえます。20という数字は最低3枚の数字カードを必要とするので、3枚~4枚出せるかを目安に冒険をスタートすると良いでしょう。

5色全ての列で20を超えるようカードを出すのは無理があります。出さない列を決めることも大切な決断です!
契約カード
契約カードは各色3枚ずつあり、効果は得点を2倍にしてくれます。厳密には1枚につき+1倍することができます。なので2枚なら3倍、3枚なら4倍とといった具合です。

ただし使う時にいろいろな制約があります。
- 契約カードは数字カードを全く出していない状態でのみ出すことができます。
- 契約カードの置かれた列に、その色の2枚目・3枚目の契約カードを出しても構いません。
- 契約カードは失点も倍化してしまいます。
契約カードは数字カードを出す前にのみプレイできます。全くカードを出さない状態で、得点・失点が倍になる覚悟を決めないといけないわけです。出資者の期待に応えるよう良い結果を残しましょう(笑)。
2.手札からカードを1枚選び、中央のカード捨て場に捨てる。
これは単純に要らないカードを捨てるだけです。
- 手札の要らないカードを1枚選び、捨てるカードの色に対応する捨て場(ボード中央)に置きます。
- 捨て札はどんどん捨て場に積み上げられていきます。その色の捨て場の一番上に捨ててください。
- 各色の捨て場の一番上のカードは誰でも取ることができます。相手の必要なカードを捨てないよう注意したいです。
- 捨てたカードを同じ手番中に拾うことはできません。
- 自分が捨てたカードは次の手番から拾うことができます。気が変わったら拾いましょう。

捨て札は点数も伸びないし、相手にトスする可能性のあるリスクの高いアクションです。でもやらなきゃいけない場面は多々あります。難しいアクションの1つです。
カードを1枚、捨て札か山札から補充
2つのアクションのどちらかを行ったらカードを1枚、山札か捨て札から補充します。捨て札から取る場合は、対応する置き場を1つ選び、その一番上のカードを取ります。1枚使って1枚引くが基本なので、手札は常に8枚をキープします。

ゲームの終了
ゲームは山札のカードの最後の一枚が引かれたら終了です。まだ出したいカードがある時に、捨て札の要らないカードを取ってゲームの終了時期を伸ばすのは有効な選択肢の1つです。つまり、ゲームの終了時期はある程度コントロールできます。

得点計算
さてこのゲームの一番の難所は得点計算です。各列についてこのように計算します。
- その列に出された数字カードの数値を全て足します。
- 全て足した後に20を引きます。(ここまでを基礎得点と定義します)
- その後、「基礎得点」に対し、契約カードの枚数分の掛け算をします。
- 契約カード1枚なら2倍、2枚なら3倍、3枚なら4倍です。
- さらに8枚以上出していれば、ボーナスの20点が発生します。これは掛け算の対象にはなりません。
例えば、数字カードがこうプレイされた列があったとします。今回は黄色、青、白の3列を計算します。

黄色は8と9と10が出されています。全部足すと27で、そこから20を引きます。契約カードはないので黄色の最終得点は7点です。
青色は契約カード1枚と、2,4,5,8の合計5枚が出されています。全部足すと19なので、20を引くと-1点をです。これを契約カード1枚なので2倍します。青の最終得点は-2点です。
白は契約カード2枚と、2,3,4,6,8,10と合計8枚出されています。全部足すと33なので20を引いた13点に契約カード2枚の3倍を賭けます(39点)。さらに8枚プレイのボーナスの20点を追加!白の最終得点は59点です!!
10歳ぐらいの子が点数計算やると、良い計算の練習になりそうです。大人でも十分頭の体操になるレベルには大変かも(笑)。
点数を稼ぐコツは「契約カード」と高数値のカードが大切になります。あと、8枚ボーナスはロマンに見えますが、結構現実的ですよ!
まとめ
手番の選択肢は2つです。これらのどちらかを行った後に、カードを捨て札か山札から1枚引きます。
- カードを一枚、自分のカード置き場に出す
- カードを一枚、中央のカード捨て場に捨てる
1.カードを一枚、自分のカード置き場に出す
- 手札からカードを1枚選んで、それを対応する色の自分のカード置き場にだします。
- 同じ色の2枚目のカードを出す時は制限があります。すでに自分の置き場に出された数字以下のカードは場に出せません。
- 契約カードは数字カードが出されていない時のみ出せます。数字の0扱いだと思うとわかりやすいです。
- つまり赤の5を出せば、「赤の2~4」や「赤の契約カード」は出せないということです。
2.カードを一枚、中央のカード捨て場に捨てる
- 手札の要らないカードを1枚選び、そのカードに対応する色の捨て場(ボード中央)に捨てます。
- 捨て札はどんどん積み上げられていきます。今捨てるカードを一番上に置きます。
- 各色の捨て札の一番上のカードは誰でも取ることができます。
- ただし、自分が捨てた手番に、捨てたばかりのカードを拾うことはできません。
- 自分が捨てたカードは次の手番から拾うことができます。気が変わったら拾いましょう。
カードを1枚、捨て札か山札から補充する
- 手番の終了時にカードを1枚、捨て札か山札のどちらかから補充します。
- 山札からの場合は単純にカードを1枚引いて手札に加えます。
- 捨て札からの場合は、各置き場の一番上のカードのみが拾えます。
- 手札は常に8枚をキープします。使ったら引くの繰り返しです。
ゲームの終了
- ゲームは山札のカードの最後の1枚が引かれたら即終了です。
- ゲームの終了時期をコントロールするため、要らないカードとわかりつつ捨て札を拾うのはアリです。
得点計算
- 各列について次のように計算します。
- 1枚もカードを出さなかった列は0点です。
- まず最初に数字カードを全て足します。その後20を引きます。この引き算までを「基礎得点」と定義します。
- 契約カードの数だけを1枚につき「基礎得点」を+1倍します。つまり1枚で2倍、2枚で3倍です。
- その後8枚以上出した列はボーナス点の20点を獲得します。契約カードを含んで達成しても構いません。
- 8枚ボーナスの点数は契約カードの賭け算の対象にならないことにご注意ください。
- つまり「基礎得点×契約カード倍率+8枚ボーナス20点」を各列で行うということです。
ペア戦ルール
本作は2人専用ゲームですが、2セット用意することでペア戦が可能です。2人も良いですが、4人も素晴らしいです。気に入ったらペア戦も試してみてはいかがでしょうか?
自分のカードを2枚ペアに送ることができるルールはなかなか面白いです。通常の会話が禁止されているので、上手にこれを行えばお互いの手札の状態を教え合うこともできます。
ペア戦の変更点
- 各色の2~4(合計15枚)を足した合計75枚のカードを使用。つまり各色2~4は2枚ずつになります。
- ペア同士は向かい合って座る。ボードは1つでペアでお互いに5色のカードを協力して出していきます。
- 同じ色の同じ数字のカードを2枚は出せません。
- パートナー同士は会話してはいけません。
- 通常の選択肢に加えて「パートナーにカードを2枚送る」が可能になります。これをすると送った側の手札は以降6枚になります。相棒から2枚貰わない限り、ずっと6枚のままです。
- 「パートナーにカードを2枚送る」は手札が8枚の時しかできません。
- その他のルールは2人の時のものに準拠します。
ペア戦ルールも良いですよ。気に入ったら2セット目を購入しても良いと思います。
評価と感想
まずは公平に良いところと悪いところに触れていきます。
- 出すか捨てるかの2択が強烈に悩ましい。
- シンプルなルールで濃厚な駆け引き。これぞクニツィアブランド!
- サクサク遊べて中毒性が高い。2人用ゲームのベストゲームに挙げる人も居ます。
- ハマれば1列で凄まじい得点が出せる。ロマンもあります。
- シンプルなルールなのに技術介入の要素が程よくある。シンプルで奥が深い。
- 点数計算が各列ごとに足し算・引き算・掛け算しないといけない
- 点数計算の手間がテンポの良さを相殺している。
- スリーブ派には、カードがやたら大きく特殊サイズのスリーブが必要なこと。
- カード主体のゲームの割にお値段は高めなこと(定価4,400円)。
- ペア戦ルールで遊ぶには2セット必要です。価格的な重さがのしかかります。
どんな人におすすめ?
基本はシンプルそのものです。中毒性も高く、2人でよく遊ぶ人には一度は遊んでほしい作品の1つです。ただ点数計算だけが少し手間です。
本作はボードゲームアリーナ(BGA)でプレイ可能なので、一度プレイしてみるのも良いでしょう。ただし、友人と遊ぶのにはどちらかが「プレミアム会員」(月額500円ほど)になる必要があります。BGAだと面倒な点数計算をデジタルで一発でやってくれます。控えめに言って神です。
お値段が少し高いので勧めにくいのも事実ではあります。定価の4400円は安いボードゲームぐらいの価格帯です。一番はBGAで試して気に入れば、購入するのがベストでしょう。
個人的な感想
基本は出すか捨てるかの2択で「どっちもやりなくない!」というクニツィアジレンマを味わえる作品です。それでいて、シンプルなルールでさくさく遊べる2人用ゲーム。これだけで神だと思います。
しかし、一番の難点は得点計算ですね。複雑なのと手間なのが合わさって、ちょっとアナログのゲームというよりデジタルのゲーム向けかなとも思います。計算間違いを防ぐためにも、紙とペンと電卓は必須かと思います。専用の点数計算ソフトが欲しくなります。
点数計算の複雑ささえ克服できるのならば、間違いなく2人ゲームの代表作級のゲームです。「ボードゲーム好き」を自負するなら一度はプレイしてみる価値があります。ロック音楽の「ビートルズ」や「クイーン」ぐらい古典かつ定番タイトルの1つです。
間違いなく2人用ゲームの代表作級の出来です!難点は点数計算。紙とペンと電卓は必須です。
推定プレイ回数 | 20回以上(アナログは5回ほど) |
僕のPlay:game点数評価 | 4点/10点(あまり良くないゲーム。付き合いで遊ぶ) ただしデジタルなら7~8点。 |
今後の予測変動幅 | 3~5点(ただし点数計算ソフトがでれば、デジタル評価に追いつき得ます) |
『ロストシティ』を買う!
カードゲームの値段にしては定価が高いので、個人的には中古をおススメします。新品狙いの人はボドゲーマでレビュークーポンを使って買うのがお勧めですね。
カードスリーブについて
スリーブのサイズは70mm×110mmととても大きなカードサイズです。特殊なスリーブでこれとか、クニツィアの旧版の『ブルームーン』など対応するゲームは結構限られています。
個人的にはシャッフルしやすいスリーブキングのものがおススメです。アーチゲームズさんや、バネストさんで取り扱いがあるので、そちらで購入されるのをおススメします。リンクは現在在庫のあるアーチゲームズさんのものです。よろしければこちらもどうぞ!
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