ボードゲーム

『エミネント・ドメイン』について語る

このゲームの魅力についてわかりやすい解説を目指した記事です。

どういうゲームなのか?

 『エミネント・ドメイン』はボードゲームの1つです。テーマとしては銀河帝国を発展させるべく、惑星を探して開拓・軍事制圧していくゲームです。

 基本的にはデッキ構築ゲームです。初期手札10枚のデッキを強くして、より効率的な銀河帝国の拡大を目指していくゲームだと思っていただければ間違いありません。

 アクションは基本6種類あって、惑星を探す「探査」見つけた惑星を植民地にするための「入植」「軍事」開拓した惑星を使ってする特殊カードが貰える「研究」勝利点を稼ぐための商品を作る「生産」、商品を勝利点に変える「消費」です。

画像はBGGから6種類のアクションカード(生産/消費は1枚2役)

「探査」で星を探す!→「入植」か「軍事」で制圧!→制圧した惑星を使って「研究」「生産」「消費」の3つをして勝利点を稼ぐゲームだよ。

凄いと思うところ

  • デッキ構築ゲームの「ソロプレイ感問題」を解消していること
  • 相手のアクションに便乗できなくても、カードが1枚引けること
  • 惑星タイプごとのカラーパイ(色の役割)がしっかりあること
  • デッキへのカードの追加と削除にあまり明確な答えがないこと
  • 両面カードで異なる戦術同士でもカードの取り合いが発生すること

デッキ構築ゲームの「ソロプレイ感問題」を解消していること

 このゲームでは第一に他人のアクションに便乗できます。相手と同じアクションカードを手札に持っていると便乗でき、アクションの効率を高めることができます。

 アクションを行う側も『プエルトリコ』みたいに役割ボーナスみたいなものがあり、便乗する側よりも有利な調整がされています。

 このアクションの読み合いが面白いです。また手番終了時に手札にどのカードを残すのか選択します。この時に相手にやりたいアクションを期待してカードを選ぶことも大切になります。思い切って捨ててデッキを回すのを優先することも大事です。ジレンマですね。

相手入植してきそうだなあ…。便乗できると美味しいんだけど、次のターン研究したいし、どのカード残そう?

技術カードは唯一無二(オールユニーク)なので必然的に取り合いが激しくなる

 他にも取り合いになる技術カードの概念があります。これはシンボルの違いにまで注目するとオールユニーク(全部異なるカード)と言えます。

 なので全てのカードが唯一無二ともいえ、唯一のカードを取り合う形になります。取り合いはそれはもう大層激しくなります(笑)。

全てのカードがオンリーワンならそりゃ取り合いも生まれるよね!

相手のアクションに便乗できなくても、カードが1枚引けること

 これもメチャクチャ大事な要素です。相手のアクションに便乗できなかった時に補填でカードが1枚引けます。なので「相乗りできないのは損」というゲーム性ではありません

 この「補填の1枚」はアクションができるのにやらないことを選択して引いても良いです。これがまたゲームを面白くしており、便乗すべきかしないべきかのジレンマがあります。

むむむ…このアクションに便乗できるけど、科学もう1枚引きたいしここは対抗(補填の1枚を引く)かな。とかできて面白いです。

初期デッキのカードはほぼ全て終盤まで全然使用に耐えること

 デッキ構築ゲームの多くの初期デッキのカードは「改良すべき弱いカード」なことが多いです。『ドミニオン』の初期デッキの「銅貨」なんかは明確に弱く、できればデッキから追い出したいカードの筆頭ですね(笑)。

 本作の初期デッキのカードは普通にゲーム終了まで使用に耐えます。ただ何に注力するかで終盤まで使えるカードが変わるのでそこはご容赦ください。

惑星タイプごとのカラーパイ(色の役割)がしっかりあること

 このゲームの惑星には3タイプあります。名前で言うと覚えにくいのでここでは「地球」、「火星」、「土星」と呼ぶことにします。

 それぞれ3タイプごとに6種類のアクションの得意分野があります。

  • 地球は「入植」「生産」が得意。
  • 火星は「軍事」「探査」が得意。
  • 土星は「研究」「消費」が得意
地球は生産と入植が得意な惑星です!

 この色の役割のことを専門用語で「カラーパイ」と言います。初期の惑星や探査で引いてくるカードに合わせてある程度戦術を変える必要性があるのです。

今回は初期の惑星が火星だから軍事かな!これから毎日、星を焼こうぜ!

デッキへのカードの追加と削除にあまり明確な答えがないこと

 各種アクションカードは削り過ぎるとそのアクションをやりにくくなるし、削らなさすぎるとやりたいアクションのカードを固めて引くのが難しくなります。

 この絶妙なバランスがまたゲームを悩ましくしています。本作はカードをポンポン引くことができません。無駄をなくすこと、無くし過ぎないことのさじ加減が大切になっています。

カードは上手に減らさないと、研究したいのに入植と探査ばかり引く!なんてことも…上級者でも結構あるあるです!

両面カードで異なる戦術同士でもカードの取り合いが発生すること

 これは天才の発想だと思います。効果が異なるカード同士の取り合いは、特化する戦術で住み分けて→ソロプレイの作業になる危険を伴います。

 そこを解消したのが両面カードです。これにより異なる戦術でも同じカードの欲しい面を巡って取り合う。という形になり駆け引きが生じます。上手い事考えたなと感心します。

両面カードの「豊穣」と「肥沃な大地」。

拡張セットについて

 本作には拡張セットがあります。『ドミニオン』ほど多くないものの3つ出ており、決して拡張の数は少ない方ではありません。拡張セットに日本語版はありません。

 2022年5月末現在、第一・第二拡張は米Amazonで購入可能です。買えるうちに抑えておきたいですね。

  • 第一拡張『エスカレーション』
  • 第二拡張『エキゾチカ』
  • 第三拡張『オブリビオン』

第一拡張『エスカレーション』

 目玉は3色の惑星全てを持っていると研究できる「多色カード」が登場。これにより惑星の色が揃わなかった時の救済措置になりえます。惑星ガチャ依存度が下がったといえます。

 正直基本セットが「入門ゲーム」で、この拡張入りが「完全版」といっていい出来。セットで買っていいレベル。ただ必ず導入は基本セットのみで遊んでを強く推奨します。

 また「特定の初期デッキ+特定の技術カードを持った状態」からスタートする「シナリオ」ゲームも追加。これもなかなかユニークで面白いアイデアです。

第二拡張『エキゾチカ』

 4色目の惑星「エイリアン」が登場。また色無しみたいな惑星の「アステロイド(小惑星)」が登場。これによりゲームの可能性がまた広がります。

 2回遊びました。悪くないと思います。第一印象では『エスカレーション』の方がゲームバランスが良いかなと思いました。両方入れて遊び方もあるのでそれも試してみたいです。

第三拡張『オブリビオン』

 未プレイ。絵柄が変わり、政治カードに役割が与えられ、威信(緑)の惑星が登場。ゲーム時間が伸びる+イラストの変更から賛否のありそうなセットです。

 正直、安くで転がっていない限り今のところは見送りでかなと考えています。

このゲームの問題点

 総じていえばやり込みゲー、技術カードの種類多すぎなことに起因するものが多いです。箇条書きで列挙していきます。

  • 技術カードの枚数が多く、何を選択してよいのか分かりにくい。慣れるまで技術カードを選ぶのにどうしても時間がかかってしまうこと。
  • 戦闘機の種類ごとの視認性があまりよろしくないこと。自前で彩色する人もいます。
  • ミスをすると挽回するのが難しい印象があること。
  • やはり技術カードの良く取られるカードはある程度あります。レベル1~2のよく売れるカードはそこそこ決まっています。
  • 技術介入度が高く、デッキへのカードの追加/削除のバランスが難しい。ハイパーやり込みゲーなこと。
  • 人数が多すぎると技術カードの取り合いや、アクションの読み合いの妙味が減損すること。理想は2~3人。4人はちょっと多すぎるかなという印象です。

総評

 デッキ構築を主役にしたゲームとしては完成形では?と思うほどの出来です。特にデッキ構築で取り合い、アクションの便乗という形で駆け引きを作ったのは天才だと思います。

 個人的にはデッキ構築でありながら元祖の『ドミニオン』を超えていると考えます。カードの強さのバランスも良く、取り合い・アクションの便乗するしないが面白いです。

 またもう1つ参考にしたであろうゲーム、『レース・フォー・ザ・ギャラクシー』の最初に手札の枚数を稼がないと話にならないという部分を上手く解消したと考えています。

 総じてデッキ構築ゲームの1つの完成形かなと思います。謎のゲームにして埋もれさせるのはあまりに勿体ないです。デッキ構築が好きな人は、ボードゲームアリーナからプレイ可能なので是非プレイしてみてください。下の画像タップでもいけます。

 ボードゲームアリーナで130回以上遊んでいます。全く凄いゲームです。あらゆる箇所に程よいジレンマがあり、細かなところで常に悩ましいです。

 ちょっと前に絶賛したクニツィアの『エルドラド』を手放すきっかけになったゲームです。本作と『アルナック』があれば今のところデッキ構築ゲームは十分な気がするレベルです。

付録:このゲームを楽しめるようになるためのコツ

 筆者はボードゲームアリーナで本ゲームを100プレイ以上しており、ELOレーティングは300~350ぐらいのやり込み勢です。基本的なプレイのコツを箇条書きしておきます。

  • 入植か軍事はどちらかに絞ると良いです。
  • 生産/消費カードは惑星を開拓するまで使わないので、研究カードで追い出しましょう。
  • 惑星の色は同じものを揃える(基本ゲーム)か、3色揃えること(『第一拡張』あり)。
  • 多すぎるなと思ったカードは研究カードなどの効果で減らすことを推奨します。
  • 技術カードは強い。特にレベル2(科学5シンボル)以上は強力なので、積極的に狙おう。何を取るかは自分の戦術に合わせればOKです。
  • 基本的には技術カードのレベル3(科学7シンボル)ゲー。これを目指すゲームといっても過言ではないほど。
  • シンボルの増加効果のあるパーマネント(永続)や惑星は強い。中でも「入植」「軍事」「科学」あたりのブーストは非常に心強い。
  • 序盤に特に入植は5コストの惑星カードは取らない方が良いです。

まとめ

  • このゲームの良さを存分にお話しました。デッキ構築ゲームの駆け引きの作り方としては間違いなく天才の調整です。
  • 加えて短所も箇条書きでお話しました。総じてやり込みゲーなこと、技術カード多すぎが問題点です。やり込めば解消していくものが多いです。
  • 拡張セットについてもざっくりお話しました。第一拡張の『エスカレーション』はセットで買いたいレベルに出来が良いです。
  • デッキ構築を主役にしたゲームとしては本作は完成形だと僕は考えています。
  • 加えてゲーム上達のコツを箇条書きで説明しました。一言でいうと、レベル3の技術カードを目指すゲームだと思ってプレイすれば間違いは少ないと思います。

 本作の良さを語るために丸々1記事書きました。詳細レビュークラスに分量が多く、読むのが大変かと思います。できるだけセリフを入れて、分かりやすくお話したつもりです。

以上です。読んで下さりありがとうございました。1人でも多くの方がプレイしてくれることを望んでいます。是非、一度遊んでみてください!

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