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『郵便馬車』詳細レビュー

優雅なボードに優雅なゲーム性。これぞドイツゲーム大賞!

 こんばんは、大佐です。本日紹介するゲームは『郵便馬車』です。優雅な郵便網を作っていくゲームで、なかなかない制限が魅力的なゲームです!

 当記事では、このゲームとルールの魅力を分かりやすく解説しております。是非最後までご覧いただければと思います。では参りましょう!

目次

基本情報

タイトル郵便馬車
デザイナーアンドレアス・ザイファルト
発売年2006年
プレイ人数2人~4人(何人でも良い)
プレイ時間60分
流通状態絶版(プレミアゲーム)
ただしボードゲームアリーナでプレイ可能
言語依存なし
BGG平均レーティング7.1/10点(評価数18,000)

ゲームの概要

 プレイヤーはドイツの郵便馬車の会社の経営者です。各都市に自分の郵便局を配置していき、配達網を充実させていくことが目的です。

 郵便局の建設はカードを使って行います。この時に面白い制限があり、これに悩まされます。その制限を乗り越え、より多くの郵便局の建設を目指します。

 一定条件を満たすと貰えるボーナス得点もあります。トータルで一番点数の高い人の勝ちです!

内容物の説明

 最初に紹介するのはゲームボードです。ゲーム中に登場するドイツの都市や各種カードの置き場などを表示しています。

 基本的にはドイツの都市がでかでかと書かれており、見た目は非常にオシャレな見た目をしています。

 都市がたくさん書かれており、それぞれ9つの色グループ(紫、緑、黄緑、白、青、水色、赤、オレンジ、灰色)に分かれています。

 次に各色の家(郵便局)です。これをより多くボードに配置していくことを目指します。

 その郵便局を配置するために使う都市カードです。ボード上の都市名が書かれているだけです。なのでドイツ語が読めなくても遊べます。

 都市カードは、何色のグループに属する都市なのか名前のところに色がついています(ゲーム性、探しやすさの2点で素晴らしい工夫です)。

猫さん

都市名が読めるとより雰囲気が出ますが、読めなくてもゲームを遊ぶ上で問題にはなりませんよ!

 次にボーナスタイルと馬車カードです。前者は郵便局を一定の組み合わせで建設した時に貰えます。馬車カードは条件を満たせば貰えるカードです。どちらも基本的にはボーナス得点です。

準備

 そこそこ多いので箇条書きで記します。

  1. ボードを広げます
  2. ボーナスタイルを同じ種類同士で積み上げます。この時数字の高いものを上にしてください(達成の早い人が高得点)。
  3. 都市カードをシャッフルします。ボード上の置き場に6枚表向きにしておきます。残りのカードは山札として裏向きにして積んで置きます。
  4. 馬車カードは種類別にしてボード上の置き場に置きます。
  5. 各プレイヤーは一色選び、郵便局コマを全て受け取ります。本社カードとサマリーカードを受け取ります。

 図にするとこんな感じです。2人プレイの場合です。これで準備完了です!サマリーカードだけは配っていません。ご了承ください。

手番の流れ

 スタートプレイヤーを決めます(マニュアルでは一番若い人)。スタートプレイヤーから時計回りで手番を行います。手番は以下の流れです。

  1. 都市カードを1枚取って手札に加える
  2. 都市カードを1枚手札から使い、郵便網を作成・拡大する
  3. 郵便網を完成させるかどうかの判断をする

 この3ステップを繰り返すだけです。

 加えて公人と言われる特殊能力おじさんの力を借りられます。彼らの能力はこれらの3つのアクションを強化することです。1手番ごとに、4人のうち1人の力を選んで借りることができます。

公人の特殊能力

 公人は4人います。つまり4種類の能力から選びます。左から順に解説します。それぞれの能力は非常に強力です。

  1. 御者:郵便網の拡大・作成時にもう1枚カードを出せます。
  2. 郵便局長:都市カードを取る時にもう1枚カードを手札に加えられます。
  3. 郡長:郡長:場の6枚を捨てて、新たな6枚を山札からめくり直します。
  4. 車大工:郵便網の大きさを+2して馬車カードを受け取れます。
猫さん

残りの3人はなんとなくわかるにしても、車大工の説明は意味不明だと思います。あとできちんと解説します。

御者と郵便局長はアクションを単純に2倍にします。この2つをメインに使っていくことが多いです。

1.都市カードを1枚取って手札に加える

 これは単純に、6枚表向きになっている都市カード(場札)から1枚選んで手札に加えるだけです。もしくは山札の一番上から引いても構いません。

 このフェイズで行使できる公人の能力は以下の2人です。

  1. 郵便局長:都市カードを取る時にもう1枚カードを手札に加えて良い
  2. 郡長:場の6枚を捨てて、新たな6枚を山札からめくり直します。

大事な例外:手番開始時に手札が0枚の時は、必ず郵便局長の能力を選ぶ必要があります!

ゲーム開始時は手札がないので、必ず郵便局長の能力を使うことになります。

山札の一番上からも可能です!個人的には、場の6枚が気に入らないなら、郡長の能力でリセットがお勧めです。

 カードを手札に加えたらすぐに場のカードを山札から補充し、6枚にします。

 英文ルールを見るに取ったら即補充みたいです。なので僕は郵便局長の能力を使う時も、2枚目を取る時も6枚に補充してから取っています。間違っていたらすいません。

2.郵便網を作成・拡大する

 次に手札の都市カードを使って、郵便網を作成します。このフェイズで使用可能な公人は御者のみです。

  1. 御者:郵便網を作成・拡大する際にカードを2枚使うことができます。
  • 都市カードを一列に並べて自分の前に出していきます(公開情報です)。
  • 1手番に必ず1枚はカードを使ってください(御者の能力で2枚使用もOK)
  • 郵便網を始める最初の1枚を出す時は、自由にカードを出して構いませんが、2枚目以降には制限があります!

郵便網は同時に1つしか作れません。最初に出したカードを軸に前後に伸ばしていくイメージです。

 次に郵便網を2枚目以降を出す時の制限をお話します。イメージとしては「一筆書きでループと枝分かれが許されない道を伸ばしていくイメージ」です。

  • 2枚目以降は今の郵便網のカード列の左右どちらかにカードを出します。先端か後ろを伸ばすイメージで良いです
  • 隣に出すカードとボード上で道で隣接している都市カードである必要があります(隣り合うカードしか出せない)。
  • 作成中の郵便網は1つしか持てません。新しく始める時は、完成させる(後述)か、今作っている郵便網を諦めて捨て札にして始めてください
  • 1つの郵便網に同じ都市を2枚出してはいけません。
  • 後から郵便網の列に出したカードの順番を組み替えてはいけません。

 上の例ではプレイヤーはAはすでにケンプテンをプレイしています。手札には左からチューリッヒウルムインゴルシュタット3枚のカードがあります。

 チューリッヒとウルムを出す時はケンプテンに隣接する都市カードなのでこの2枚ならのケンプテンの左右に付けられます。

 例えばここでウルムを左側に出したら、ウルム・ケンプテンの並びになります。次の手番では、ウルムの左か、ケンプテンの右に、それぞれの都市に隣接するカードが必要になります。

隣接しないカードを出したい時は最初からやり直し

 上の写真のインゴルシュタットだけは今は隣接しない都市カードです。

 もし、これを今出したければケンプテンをまず捨て札にします。そしてインゴルシュタットを開始地点にする郵便網を新規作成する必要があります。

3.郵便網の完成

 郵便網の完成には3枚以上のカードを必要とします。3枚以上からなる郵便網は手番の最終である、このタイミングで完成させることができます。まだ伸ばしたいと思えばいくらでも続けても良いです。

 完成させると以下の3つの恩恵があります。

  1. ボード上への郵便局の配置
  2. ボーナスタイルの獲得(条件達成時のみ)
  3. 馬車カードの獲得(条件達成時のみ)

 加えて恩恵ではありませんが、手札上限のチェックが郵便網の完成時に行われます。

 このゲームの手札の上限は3枚です。手札の上限はこのフェイズでのみチェックされます。郵便網を完成させるまでは、一時的に何枚でも持っても構いません。

A.郵便局の配置

 郵便局の配置には2つのパターンがあります。有利に働くと思ったパターンを選んでボード上に郵便局を配置してください。

  1. 現在の郵便網の各色の地域に対して1つずつ郵便局を置く
  2. 現在の郵便網の1つの地域に対して全ての都市に郵便局を置く

 ここでいう地域はボード上の色グループ1つを指します。1の配置ルールなら赤地域から1都市、青地域から1都市といった具合に選びます。 

 どちらのルールで置くにしても、郵便局を置けるのは今、完成させた郵便網に含まれる都市だけです。

郵便局配置の具体例

 プレイヤーAは下の写真の5都市の郵便網を完成させました。配置ルール1のパターンと、2のパターンをシミュレーションしてみます。

 1のパターンの場合はこう配置します。水色と青は1都市しかないので、選択肢はありません。白は3都市あって、好きな都市1つ選べます。

 下の写真ではケンプテンを選びましたが、代わりにアウグスブルグ、ミュンヘンを選んでも構いません。

 今度は2のパターンの場合です。1つの色グループ全てのパターンですが、青や水色を選ぶと1都市にしか置けません。しかし、白を選ぶと3都市に配置できます。白を選んだ場合を下の写真に記しています。

 1と2の自分が有利になると思うルールで配置してください。このルールを意識して郵便網を作ることが大切です。小さく完成させることも大事なのが分かっていただけるかと思います。

B.ボーナスタイルの獲得

 ボーナスタイルは以下の4種類があります。ボーナスタイルは同じ種類を山積みにして、より達成の早い人が高い点数のものを受け取ります。

  1. 地域ボーナス:対象の色グループ(1~2色)に全て郵便局を配置したら
  2. 全地域ボーナス:全ての色グループに1件ずつ郵便局を配置したら
  3. 長さボーナス:郵便網の長さに応じて貰えます。5~7都市が対象です。
  4. 終了ボーナス:ゲーム終了条件を達成した人に与えられます。
  1. ボーナスタイルの条件を達成してもタイルが売り切れていたら貰えません
  2. 全地域ボーナス、各地域ボーナスの同じタイルは1人1回までです。

C. 馬車カードの獲得

 郵便網を完成させたら、以下の手順で獲得できるかをチェックします。クリアしていれば、馬車カードが貰えます。

  1. まず、第一に完成した郵便網に含まれる都市数を数えます(この値は車大工の能力で+2できます)。
  2. その数があなたが持っている馬車カードの値より大きければ、今持っている馬車カードより、1つ上の値のものを獲得します

 馬車カードは新しいものを貰った時に、古いものの上に重ねます。枚数が増えるというよりも、値を更新していくイメージで良いです。

 要は馬車カードは今持っている数字より大きなサイズの郵便網を完成させたときに、数字を1つ更新できるわけです。

車大工の能力

 先ほど少し触れましたが、このフェイズで使用可能な公人の能力は車大工のみです。

  1. 車大工:完成した郵便網の都市カードの枚数を+2した扱いで、馬車カード獲得できます。

車大工はたまにお世話になるイメージです。

馬車カードの獲得の具体例

 プレイヤーは5都市の郵便網を完成させました。3の馬車カードを持つ彼は、5都市の郵便網を完成させたので、馬車カードは1つ上の4を貰います。

ゲームの終了

 ゲーム終了条件は2つあります。

  1. 全ての郵便局を配置したプレイヤーが出る
  2. 誰かが馬車カードの7を取った時

 この2つのうちどちらかを満たせば、スタートプレイヤーの右隣の人まで手番を行いゲームを終了します。

よくある全員の手番数を均等にするルールです。この表現はよく出て来るので覚えておいて良いです。

得点計算

 得点計算では以下の3項目が得点対象です。

  1. 手持ちの馬車カードの最大のものの勝利ポイント
  2. ボーナスタイルの勝利ポイントの合計
  3. 1+2を足して、未使用の郵便局の数だけ点を引きます。

 「馬車カードの最大の値+ボーナスの合計ー未使用の郵便局数」があなたの勝利ポイントです。最も勝利ポイントが高い人が勝利します。

タイブレーク(同点時の優劣)

 同店の場合は終了ボーナスタイルを持っている人が勝ちです。それか、終了ボーナス持ちのプレイヤーから時計回りで見て、最も順番の近い人が勝ちです。

 要は終了条件満たした人が勝ち。そうでない場合は、最終手番が終了条件を満たすかわからない状態で手を打った人を優先するルールです。

まとめ

 要点だけまとめます。ちょっと説明が長いので、まとめは必須に思います。一部を忘れた人や、ざっくりルールが頭に入っている人はこの項だけ読めば良いよくなるよう書いてみました。

手番の流れ

 これらのアクションは一部は公人の能力で強化が可能です。

  1. 都市カードを場から取って手札に加える
  2. 都市カードを手札から出して郵便網を作るか拡大する
  3. 現在の郵便網を完成させるかどうか決断する
  4. 郵便網を完成させたらボーナス類を受け取る
  5. 手札を3枚になるまで捨てる

公人の能力(1手番1人選んで使える)

  1. 郵便局長:都市カードを場から追加で1枚取れる(2枚取り)
  2. 郡長:場のカードを全て捨て、新たな6枚を山札からめくる(リセット)
  3. 御者:郵便網の作成・拡大でカードを2枚出せる(2枚出し)
  4. 車大工:馬車カードを取る際に、郵便網のサイズ+2する

 イメージとしては1は2枚取り、2は場のリセット、3は2枚出し、4は郵便網のサイズ+2扱いで馬車を取るですね。

郵便網の完成時の郵便局の配置ルール

 以下の2つの置き方から選びます。郵便網に含まれていない都市にはそもそも置けないことに注意してください。

  1. 郵便網に含まれる色グループ全てに1都市ずつ
  2. 郵便網に含まれる色グループ1つの全ての都市

ゲームの終了条件

 誰かが7の馬車カードを取るか、郵便局を使い切ること。その後、全員が手番を同じ回数行ってゲームを終了します。

間違いやすいところ・疑問に思いやすいところ

  • 山札が尽きたら何度でも捨て札を混ぜて再度作り直します。
  • 手札の上限チェックは手番終了時だけです。一時的に超えてもOKです。
  • 馬車カードは常に1つ値の上のカードに更新する形で獲得します。
  • 場のカードは常に6枚を保ちます。郵便局長を選んでも2枚目も6枚から選んでOKかと思います。
  • 郵便網伸ばせない時は強制でリセット&再スタートです。

評価と感想

 まずは公平に良いところと悪いところに触れていきます。

  • ゲームボードがオシャレで格調高い!
  • プレイ可能人数のなら何人でも良いこと!
  • 2つの郵便局配置のルールがよい具合に悩ましいです。
  • カードの使い方と配置ルールの組み合わせが独自性が高い組み合わせと言えます。
  • 直接的な妨害が難しく、マイルドに遊べる。

  • 1回郵便網をダメにしてしまうと積極的に差を詰めるのが難しい。
  • カード運に左右されるところが小さくない。
  • 2つの郵便局配置ルールを意識して、郵便網を作るのは決して簡単ではない。
  • 言葉にすると結構ややこしいルール。説明難易度は高め
  • プレイヤー間の絡みが控えめなこと

 総じていうと他に替えの効かないゲームなので結構「郵便馬車脳」が問われます。2つの郵便局ルールを意識して、郵便網をうまくリスク管理して伸ばせるかという結構テクいことを要求してくるゲームです。

どんな人におすすめ?

 今回は本作をファミリーゲームの上位の本格ゲームとしました。一度ルールを理解してしまえば、簡単です。ただ上手にプレイするのは難しいです。

 手軽なゲームをいくつか経験してから遊ぶと良いでしょう。ゆるっとふんわり遊べる要素もあるので、説明さえクリアできればライトな人も取り込める良さを持っています。

個人的な感想

 マイルドに遊べる人数を選ばないゲームという点では間違いなく神です。今のところ2人でしか遊んだことないのですが、カードを巡る取り合いは2人が一番面白いと思いました。ただ終盤が少しダレます。

 少人数だとカードの取り合いが熱く、多人数だとボーナスの取り合いが熱いゲームになります。この柔軟性がどの人数でも面白いゲーム性を作り上げていると思います。

 赤いポーン受賞作に相応しい分かりやすく、素晴らしく、技術の出る面白いゲームだと思います。ゲーム歴の長い人は一度は遊ぶべきだと思うゲームの1つです。

推定プレイ回数3回~5回
僕のPlay:game点数評価7点/10点(大抵プレイしたいゲーム)
今後の予測変動幅6点~8点(9点も無くはない)

郵便馬車を買う・遊ぶ

 残念ですが、今のところ絶版でプレミア価格で取引されています。どうしても欲しい人は海外から輸入やヤフオクに出物が出るのを待つことを強くお勧めします。駿河屋さんのこの値段は、お勧めできません。

 赤ポーン受賞作かつ、ボードゲームアリーナ(BGA)で対戦可能な作品なので、いずれ再販されるでしょう。BGAで遊びながら気長に待つのも手ですね。

郵便馬車
created by Rinker

本作はBGA(ボードゲームアリーナ)で遊べます

https://boardgamearena.com/gamepanel?game=thurnandtaxis

 上記リンクからゲームのページに飛べます。BGAはオンラインで対戦可能なボードゲームサイトでスマートフォンからでも遊べます。

 期限以内に手番を打てばよいターンベースという遊び方もあります。なので隙間時間にプレイすることも可能です。「手に入らないけど、遊びたい!」という方も是非こちらのサイトからプレイしてみてください。

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